わかりやすい音楽、わかりにくい音楽
「わかりやすい音楽」と「わかりにくい音楽」について最近ふと腑に落ちたので、記しておきます。
公演でよくリクエストされるのは「わかりやすい音楽」ですね。恐らく、邦楽は「わかりにくい音楽」に位置してるからだと思います。
「わかりやすい音楽」、それはフレーズを皆が知ってるような音楽の類なんだろうけど、もっといえば、共同体を繋ぎやすくするための音楽なんだろうなと思います。その場の一体感を促すような音楽。だから例えばフレーズを知らなくとも、農作業などで自然発生した労働唄や民謡などはここに属するのだと思います。
そして「わかりにくい音楽」、これは今まで聴いたことのない音楽。なんかもう、全然理解できないとか、生理的に受け付けないとか。色々感じ方は人それぞれなのだろうけど、ちょっと小難しい音楽など。そしてある程度の知識を要するもの。
じゃあ、この「わかりにくい音楽」は必要ないんじゃないかというと、そうではなく、ここに音楽のもう一つの意味があるんではないかと、最近感じてます。
「わかりやすい音楽」がカラダで感じるものならば、「わかりにくい音楽」はココロでとらえるもの。『え、これってなに?でも好き❤』とか『全然わからないけど、なんか涙でちゃった』『もうなんか嫌悪感も感じるけど、鳥肌たっちゃった』とか、想像力を促すためのものなのではないかと思います。
アートは答えが一つだけではないジャンル。だからこそ人それぞれの感じ方が違ってよいはず。面白いのは子供は、「わかりやすい」とか「わかりにくい」とか思って、音楽を聞いたり奏じてはいないようですよね。その境界は非常に曖昧で、ただその場の音の雰囲気や、演奏者の気を感じてるだけ。わりにこの両者を明確に分けて考えてるのは大人だけな気がしてます。
だからどっちか一つだけでは面白くないなーと個人的には思います。どっちもあって満足させるような公演が出来るとステキよねと最近よく思います。そのバランスが難しいんですけどね。