鹿児島の箏(琴)・三味線和楽器教室:桐の音楽院

こんにちは。桐の音楽院(きりのねがくいん)です。鹿児島を中心に活動している箏や三味線の会です。お稽古や尺八や他和楽器との合奏、演奏活動などなど。お問い合わせはお気軽に♪

何のために邦楽器を学ぶのかなぁと考えてみる

今年の鹿児島国際大の伝統和楽器演習の講義を終了した。この授業は主に西洋楽器や声楽を勉強する学生たちが教職の免許を取るための必修課程になっている。今期は10コマのうち、2コマがリモート、あとは対面でした。

 

私がここの大学に行き始めたのは多分20代だったと思うのでおそらく20年間ほどは毎年通っていると思う。以前に比べると、生徒達の邦楽に対する知識が、年々増えているのを感じる。やはりこれも義務教育で和楽器必修になった効果が出ているのかな。

 

最初は楽器を弾く事をメインに教えていた気がする。何せこの大学には15面の箏があり、5丁の三味線があり、そして貴重な琵琶まで置いてある。

 

今でも楽器に触れる事はとても大事に思っており、生徒たちにはできるだけ時間を割いて、音出しをしてもらうようにしている。ただ教職課程の必修科目と言うことでやはり多少なりとも知識を知ってほしいと思い始めるようになってきた。

 

それと同時に邦楽器の意味も考えてほしいと考え始めたのである。

 

戦後において邦楽なんか学校で教えるべきではないと言う意見も出た時代もあったと聞く。それがなぜ復活してきたのか、と言うことを少し考えてもらいたいなと思ったのである。

 

という訳で、「なぜ邦楽器をわざわざ義務教育で習わなきゃいけない?」と何回か生徒に質問してみる。最初は一言二言の返事。大事だと思うから。そう大事。じゃあなんで大事なのか。

 

さらに聞く。なぜ日本人のあなたたちが西洋の文化である音楽を勉強しているのか?
好きだから。そっか、そっか。そうだよね。

 

じゃあ、西洋で生まれ育った人たちとあなた達がひく音楽は何が違うのか。

もっと言えば、一括りで西洋というけど、山のような民族が入り乱れる大陸で、どの民族も同じ音楽を奏でているのか?

島国であった日本人が培って来た、我々の音に対する感性というのはどんなものなのか?

だとしたら、日本人にしか奏でられない音楽ってなんなのか?

 

答えは人それぞれで構わないと思う。ただ私は思う。自分のルートを知っているか知っていないか、少なくともそれを考えるのが大事。それでいろいろな見方や物のあり方というのは違って見えるから。

 

そして自分の根っこを知るものは、自信が出る。そうすると説得力が生まれる。音楽でなくても良い。自分の出身地の文化。習慣。さらに自分の家族のルーツ。なんでもいいから自分に力を与えるものを掘り起こしていってほしいなと思います。少し難しい言葉を使うと、”アイデンティティーの模索”。

 

毎回この講義が終わるたびに、これからいろんなこと起こるんだろうなぁと思いつつ、学生を見ています。けれど音楽には何らかの形できっと一生関わっていくだろうから。いろんな見方から自分の音楽を探索して、考えて、そして続けていって欲しいなと思いました。

 

と言うわけで、今日成績付け終わって、ホッとしつつ考えていた事をつらつらと書いてみました。

 

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