鹿児島の箏(琴)・三味線和楽器教室:桐の音楽院

こんにちは。桐の音楽院(きりのねがくいん)です。鹿児島を中心に活動している箏や三味線の会です。お稽古や尺八や他和楽器との合奏、演奏活動などなど。お問い合わせはお気軽に♪

かごしまの言葉っておもしろい!~児童合唱と邦楽器のための「鹿児島のわらべうた組曲」より

 

わらべうたを紐解いてみると

久保けんお先生採取、福島雄次郎先生が作曲された「鹿児島のわらべうた組曲」、今度の国文祭で子供達が演奏します。
実はこの曲、私もむかーしむかーし小学校だった時に演奏しました。楽譜をみると17絃だったみたい。今回指導の為に久しぶり楽譜を紐解いたのだけど、唄の歌詞もしっかり覚えてました。


わらべうたってきっとこういうものなのでしょう。小さい時に歌ったり、聞いたりしてると言葉の意味は分からなくても、そのリズムや語感は覚えていて、それが心地よく、また懐かしさや親しさを生み出す。
大人になってみてあらためて言葉の意味がしりたくなり、調べてみました。なんとなく分かってたつもりだったけど、ちゃんと調べるとやっぱり面白い!鹿児島の言葉って面白いなって思いました。


それでは児童合唱と邦楽器のための「鹿児島のわらべうた組曲」の中に出てくるわらべ唄一つずつ見てみます。

 

寄いごっかいごっ

寄いごっ、かいごっ チロチッチチロチッチ よいごっ かいごっ 

早よ 来んか 早よ け(来) 早よ 来んか 早よ け(来) 

いっぱんし(尻)や きねん(狐)しっぽ

 

 

『子供たちの唄は友達の呼びかけから始まる』

これは人寄せ歌なんだそう。よく考えれば『●●ちゃーん、あっそびまっしょー』とかって言ってましたよね。それの鹿児島版。「寄いごっかいごっ」は旧谷山市下町で、「早よ来んか」は日置郡伊集院町のものとのこと。
“狐のしっぽ”というのは一番あとのものは狐のしっぽの様な、つまらないやつのことらしい。つまり早く来ないやつ(一番尻のやつ)はだめだよーっていってるんでしょうね。


きかん坊主

わげえ(我げ家)の ナー きかんぼうじゃ ナー めす(飯)こべた
よんべ(昨夜)もこべたが またこべた またこべた 

きどぐっ(木戸口)の ナー ばせんかて(婆さん方)ナー 行ったみたやー
こめんめす(米ん飯)ぶ(魚)そえて んまかった んまかった

 


これは国分湊の唄だとのこと。“こべた”というのは飯をこぼしちゃったっとのこと。からかい歌とのことです。

 

あたいがちんけ時ゃ

あたいが小んけ時ゃ がね(蟹)と(取)いけ 罷した
がねはといださんじ ね(泣)てしもた
ヨサコイ ヨサコイ ヨサコイコイ

あたいがあたいが小んけ時ゃ からいも(唐芋)団子で 
さんき(三季)奉公させられた
ヨサコイ ヨサコイ ヨサコイコイ

 


鹿児島市のうた。ふざけ歌とのことですが、歌詞の内容をみると少し暗めの内容でもあります。

 

薩摩兵児(へこ)歌

おどま薩州 薩摩のブニセ
色は黒くて 横ばいのこじっくい
いまじゃ こげんしっせ 唐芋どん食うちょっが
やがちゃ天下を股ばいにひっぱす
そんときゃ わいどんも  おいげ~来んか おいげ~来んか
   


これは焼酎のCMでも歌われてたりするのでご存知の方もういらっしゃるかもしれませんね。今はぱっとしない身なりで芋をたべてるような私だけども、いつかは天下を動かすような男にになります。という薩摩の男の心意気をうたった歌です。


出水地方の子守唄

おろろ坊がなく なかせちゃならぬ
乳をのませて めをさませよ ヨイヨイ

 

おろろ おろろで 泣く子のにくさ 
なかぬ かさご みじょござる ヨイヨイ 

 

別の出典からなのか、福島先生が歌詞をすこしかえられたのか、わからないのですが、久保先生が採譜した歌詞とは少し違うようです。が、ねさせ歌であることは間違いなく、きっと幼い子がさらに小さな赤ん坊を寝かせる為のうただったのでしょう。このような“ねさせ歌”は全国各地にありますよね。


チョンチョンチョロベ

チョンチョンチョロベが めす(飯)こべた
よべ(昨夜)もこべたが またこべた
そしこ こぼせば 飯ゃくわせんど
わい(あなた)がくわせんちゅうて こっちゃかげ(関係)なし
木戸口の だっきしょ(落花生婆さん)がくわっすちゅたで

これも『きかん坊主』と一緒でからかい歌になるそうです。もともとごはんをのこしちゃだめよーという歌なんでしょうね。音階明るく語感が楽しい曲です。

 

じさん ばあさん

じさん ばあさん なご(長ご)生きやい
米も安なろ 世もゆ(良)なろ
べんてんしばや(弁天芝居)も またござろ カヨーカヨ
カヨは流行らぬ 長崎 流行る 
長崎の嫁じょは トコ嫁じょ
トンコちゃん トンコちゃん
トンコちゃんな 上いやる
グイガメさんめ な(泣)っきゃる
明けてさんぐちゃ(三月)けそ(化粧)みやげ
けそ(化粧)は一石 あれこ(洗粉)は二石
しろいびんつけ(鬢付油)を流らせて
長崎いこうか しまばれ(島原)しようか
どこも日が照る 雲のした
これで一貫かせました ナーハイハイ

 

「爺様、婆様、長くいきたらいいことあるよー」といいつつの手まり歌です。
トンコちゃんというのは女児への愛称、グイガメさんは人名とのことです。

『昭和二年に国鉄鹿児島本線が開通するまで、鹿児島県の文物はおおかた長崎から船で移入されたという』
ので、この歌はその時代の様子をうたってるものだとのこと。弁天芝居は島津藩主重豪が祇園之洲に建てさせたものだったそうです。

 

一かけ二かけ

一かけ 二かけて 三かけて(セッセッセ)
四かけて 五かけて 橋をかけ(セッセッセ)
橋のらんかん 腰をかけ(下句で手を腰に)
はるか向こうを 眺むれば(下句で小手をかざす)
十七、八の姉さんが(指で数をかぞえる)
花と線香手にもって(右と左と物をにぎるまね)
姉さん、姉さん どこへ行く(さしまくまね)
わたしは九州(自分の鼻を指でさし)
鹿児島の(遠くの方を指でさす)
西郷隆盛 むすめです(鼻ひげをなで いばる)
明治10年 戦役に(指でかずをかぞえる
切腹なされた 父上の(切腹のまね)
お墓詣りに 参ります(セッセッセ)
お墓の前で 手をあわせ(下句で合掌)
なむだぶつととなえます(手をすりあわせる)
お墓の中から幽霊が ゆーらりゆらりと
じゃんけんぽん

 

明治30年代に流行した唄やその後演歌師が流し歩き流行らせたものと同系統の曲だそうです。最近この曲を私もお稽古時に一緒に歌ったり、手を付き合ったりしてるのだけど、子供達にとっては“じゃんけんぽん”までのこのながーい歌と手遊びがとてもたのしいみたいです。


しょうがちゃ ちこなる

しょうがちゃ(正月)ちこ(近)なる でで(橙)はあこ(赤)なる

ゆずい葉はわこ(若)なる こどもはよろこぶ 親たちゃ 世話やく

 

 

屋久島の歳事歌とのこと。でではダイダイのこと。こどもが生まれると、親類がゆずり葉でつくった矢をいる行事があるのだそうです。

 

参考にしたのはこちら

 

鹿児島・沖縄のわらべ歌 (日本わらべ歌全集26)

鹿児島・沖縄のわらべ歌 (日本わらべ歌全集26)

 

 

子供のころは耳で聞いたそのままを覚えてたけど、大人になって改めて調べてみると新鮮でした!それにしてもこれだけの唄を採譜した久保けんお先生のご尽力には頭が下がります。

本番でも元気よく、皆が鹿児島のうたを会場いっぱいに響かせてくれることを楽しみにしてます。

 

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鹿児島2015国文祭 『邦楽の祭典』詳細はこちら↓

 

kirinone.hateblo.jp