鹿児島の箏(琴)・三味線和楽器教室:桐の音楽院

こんにちは。桐の音楽院(きりのねがくいん)です。鹿児島を中心に活動している箏や三味線の会です。お稽古や尺八や他和楽器との合奏、演奏活動などなど。お問い合わせはお気軽に♪

箏の自然な音って?

こんにちは。桐の音楽院、梶ヶ野です。
今日は最近ちょっと感じていた事をつらつらと書いてみたいと思います。

 

最近ユーチューブやzoomというオンラインでのお稽古や音出しなどの機会が、以前より圧倒的に増えてきています。そこで気になるのはやはり音質。

 

先日東京音楽大学の「日本とアジアの伝統音楽・芸能のためのアートマネジメント人材育成」という取組に講師として参加させて頂きました。様々なバックグラウンドの受講生がいらっしゃり、箏を習っている学生の方もいらっしゃれば、全くこれまで箏という楽器に馴染みがなかったという方ももちろんいらっしゃいました。

 

「現代×箏」というモチーフで一つの動画を作るのがこの企画の最終目標なのですが、そこで何回となく話に出てきたのは、オンライン上での箏の音について。受講生一人一人の意見を聞いていくのですが、面白いなと思ったのが、"自然な箏の音"という定義の多様さ。

 

ある人はおそらくデジタル処理されていない音の事を言ったり、ある人にとってはコンサートホール(ある程度余韻のある場所)で聞く音の事であったり、別な人にとっては真横で演奏されている音の事だったり。

 

この講義の中では実際コトコト(山野安珠美さんと梶ヶ野)で演奏し、それをカメラで撮ったものを直接zoomで聞いてもらうという実験もしました。東京音大内の縦型に広い教室を使用(↓このような感じ)。

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講義用の部屋なので、私たち演奏者にとっては幾分デッドな印象。その中で箏の音を自然に聞かせたいと私たち。一方楽器とは別にこの教室内での自然な音の追求をされる撮影の方。それぞれの価値観で”自然な音”という定義が違うのだなぁと興味深く感じました。

 

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またコトコトワークショップ後感想を聴いてみると、実演の際は聞いている側の環境(PC、携帯、モバイルタブレットなどなど)によって、音の印象もだいぶ変わってくる結果に。一方で迫力ある音の印象が、他方では聴いていられないくらいのノイズ音と受け止められたり。さらに気をつけないといけないのはzoomでは喋る声を聞き取りやすくするためにエコーカット、騒音除去などの機能がついているのだけど、演奏をzoomでお届けするとなるとこれも又オフにしなきゃいけなかったり。これがzoomでなくて別のツールだと又違う設定をしなきゃいけないだろうし・・・

 

全てに対応していこうとすると、やることや覚えること、考えなきゃいけないこと、いっぱい。こう考えていくと人間の耳というのは本当に高機能。ただこれも先に言ったけど、”自然な音”の定義っていうのは人それぞれのフィルターがあり、耳がそれに沿って自動変換している可能性がありますよね。

 

ということを踏まえて、最近自分のウチでマイキングの実験をしています。次のブログで書きますが、とある企画に参加しようとして映像をとったのですが、音がイマイチ・・・。という訳でちゃんとマイクを立てて音は別録りにしてみました。箏は専ら音響さん泣かせな楽器と定評(!?!)があるのですが、うーんやはり難しいのかもと実感しました。実験はしばらく続くかと思いますが、結構好みな音で撮れるようになってきたのでしばらくこれで演奏動画を発信できればと思います。

 

私は私が考える良い音で箏の音を発信したい。

 

というのが、今日の話のオチでした。